ザ・イースト



社会派スパイ映画なのだが、久々にどう観ていいのか、観終わった後も感想が上手く出てこない作品に出会ってしまった。
きっとそれは、現代のアメリカ社会をフィクショナルながらリアルに描き、それを画面と空間の狭間で体感したからだろう。
特に上手いなと思ったのは、エレンペイジの演技とモノローグの導入の仕方。それに、際立ったキャラクターと個々のここまでに至る背景と闇を丁寧に描いていたから、テロという反社会活動に説得力が生まれたのだろう。
映画的演出力の高さ、これに尽きる。
企業側にも、反社会活動にも、足を踏み入れ宙に浮いた状態の主人公が何を見出し、観客がどう結論付けるのか、またはその過程は完全委ねられている。
日本映画の今まさにそこにある壁を見せられた気がして辛くもなった。

2013/ザル・バトマングリ/★★★☆☆☆