2013年 特別紹介編


『ミヤジネーション』


宮地が宮地を探し求め、映画によって紡がれ成長するセルフドキュメンタリー。音楽と合わさる編集が切なくて、涙腺が一気に崩壊。世界一のインディーズ映画誕生。「MOOSIC LAB 2013」にて。




『アフターショック』


脱獄犯、余震の恐怖、まさに地獄絵図。怯えつつも何処か笑ってしまう、コントのような可笑しな残酷さ、気付けば映画の余震が迫っていた。「シッチェス映画祭ファンタスティクセレクション2013」にて。





2013年 次点映画10本(順不同)


『パッション』



『危険なプロット』



『イノセント・ガーデン』



『恋の渦』



『オン・ザ・ロード』



『みなさん、さようなら』



『ジャンゴ  繋がれざる者』



『エンド・オブ・ザ・ワールド』



『風立ちぬ』



『あの頃、君を追いかけた』





2013年 ベスト


第10位『父の秘密』


冒頭のカメラの謎、冷徹なラスト、今年一番えぐられた作品。台詞は少なく、音楽は一切ない。漂う距離感が逃げ場を与えず、現代のあまりにも強烈な社会風刺に感情は置いていかれ、娘の秘密が父へと写った瞬間、作品の構造が露呈する。





第9位『フラッシュバックメモリーズ3D』


過去、現在、まだ見ぬ未来、映像と音楽、それを繋ぐ物語の記憶の更新が未体験な3Dにより立体化し、奥行きとなって降り注ぐ。人は何を以って体験し心に刻むのだろう。その答えはこの作品に隠されている。




第8位『地獄でなぜ悪い』


映画を愛する若き映画小僧「最高の映画の為なら死ぬ」の願いに映画の神様が微笑んだ。ヤクザと映画が実人生とリンクした時、笑って楽しい異端児園子温ワールドの血しぶきが舞う。ラストカットで涙し、何度でも叫ぶ映画万歳!




第7位『そして父になる』


取り違えという無視する事の出来ない現実に親の異なる4つの視点に共感し、懸命の子供たちに飲み込まれ、グレン・グルードの音楽に合わせ感情は一気に崩壊していく。徹底された映像全てに意味がある。日本が世界に誇る是枝演出。




第6位『ホーリー・モーターズ』


カラックス13年振りの降臨。ジャンプカット、随所に見られる数多作品のオマージュは映画愛の幸福を越えた苦悩の自問。劇場へ進む老犬と赤ん坊は、大きな美しい墓場の島へと向かうレオスカラックスの映画人生そのものだ。




第5位『横道世之介』


誰かにとっての世之介はきっと存在する。そう連想させる青春時代の追体験。ノスタルジーな80年台。嬉しくて愛おしくて、胸いっぱいの感情を世之介は切り取った。あのフィルムにどれだけの人の思いが重なり詰まっているのだろう。




第4位『ザ・マスター』


PTA、巨匠への新たな領域。感覚と色彩を70ミリに集約した演出の埃がこびりついて離さない。バイクシーンは愕然とした。ホアキン、ホフマンの怪演が誘う不穏な世界。記憶と過去の向こう側なる余韻が、郷愁の船旅へと運び出す。




第3位『わたしはロランス』


グザヴィエ・ドランの衝撃。音楽、色彩、ファッション、アート全てが感覚的で繊細。それ故に脆く崩れそうな側面を圧巻の編集により美しく際立つ。男と女の上辺ではないスペシャルな愛の物語。24歳、新たな風が吹き荒れる。




第2位『ウォールフラワー』

映画に出会って映画に置き去りにされ映画に涙する。「完璧な音楽」は「完璧な映画」を作り上げる。青春が何色かは自分が決めればいい。色褪せていたその瞬間が時代を超える。 



第1位『ゼロ・グラビティ』


冒頭のロングショットからの15分の長回しに涙した。幾つもの現代最高のレイアーとSFの裏ににある人間ドラマが僕を宇宙空間へと放り投げた。オマージュ、ラストの衝撃、GRAVITYのタイトルに呆然と打ちのめされた。





2013年 映画を振り返る


僕は作品という映画ではなく、人生の予行演習・壮大な予告編という体験、行為に出会ってまだ二年。そういった意味で周りの多くの作品観ている先輩方々の声やキャリアを聞くと本当に未熟者と実感しますが、今年はより見つめる時間があり、今までで一番作品に触れた年になりました。本当に有難い事です。

2013年という年。今年公開作品、試写を含め230作品程劇場体験をさせていただきました。まだまだ少ないですが僕にはこの量が丁度いい。今年の映画を考える、映画そのものを深めるという意味で自分なりにまとめて見ました。またこの行為がより一層映画の魅力に繋がると確信しています。



オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ



2013/ジム・ジャームッシュ/★★★★☆☆