光にふれる



盲目の少年が新たな日々に足を踏み出し、そこで出会う仲間たちと彼の唯一の世界である聴覚で少女に惹かれ恋をする。その背景には揺るぎない家族の存在があり物語は交差していく。
大学生のキャラ設定や日々成長していく過程はかなりベタに描かれているのだが、そこで本当に成長していくのは主人公ではなく周りの存在というところにグッとくる。
テレビでの野球観戦のシーン、生まれて初めて知るダンスのシーンがとにかく好き。
それぞれに好きなシーンがある、そういう映画。
そして、自分に重なるハットするシーンなんかもあるかもしれない。

こんなにいいシーンがたくさんあっても彼には見えていない。
悲しくなる現実に、泣かそうという演出ではないから泣けてくる。
暗闇のシーンでも、彼は少しずつ世界が広がり、光にふれていく。

今年の数本になるかもしれない、そんな映画でした。

2012/チャン・ロンジー/★★★★★☆