メイジーの瞳



どの目線で描くか、どの目線で観るか、それに伴って大きく物語の方向は左右されるが、その先に何が見えたか、それこそが今作の主題でありそれは僕らに委ねられ変化に心の奥で変容し続けるように思う。

家族愛はそこまで感じられはしなかったが、そこに待ち受ける個々のメイジーに対する思いと不器用な行動に大きな愛、或いは人間の剥き出しになってしまう母性を感じた。

メイジーは可哀想な子、悲しい、そんな言葉は聞きたくない。
僕自身の境遇や環境により、今作に描かれる不遇な子に対する共感の思いは起因する。
だから、切なさはあっても共感は出来なかった。
それでも、痛いほどメイジーの気持ちは理解したつもりだし、下手な親の愛情にも抵抗はなかった。

役の演出よりも、一つ一つのシーンの後から滲んでくるような空気に最大の魅力を感じた。
想像する域とは別のところにメイジー役の少女はしっかりと存在し、スカルスガルドは嫉妬するぐらい色男に映りハマっていた。

世間に蔓延る、一種多用されている愛の奥に存在し、
何度も繰り返される「愛してる」という言葉は、必ずしも万能ではいと提示してくれた今作に賞賛の念を贈りたい。
若い世代に観てほしい、そう思った。

2012/スコット・マクギー、デビッド・シーゲル/★★★★☆☆