美しい絵の崩壊



友情、家族仲、嫉妬。
それを包みこむ愛。
その愛すらを超えるものとは...
想像を覆される程の偏愛ぶり。
結末は今までの布石を吹き飛ばす爽快さ。
いやいや、これはそんな美しいものではない。
かなりの変態映画でした。

序盤のカットバック、つまり映像編集作業が素晴らしい。
あっと驚く編集は映画の魅力。
それは技術的なものだけではなく、
時間経過を映しながら幼少期からある強い絆を表現している。
青春時代をともに過ごし、子供が産まれ親としての時間も支え合い、夫の死による心傷も分かち合う。
この関係性を冒頭5分で全て映像だけで説明してしまう。

この前提から物語は一気に動き出す。

親友の母と海に浮かぶ休息所で寝そべる。
揺らぐ浮島は心の揺らぎの暗喩であり、ラストシーンへの伏線にもなる。
演出としてはとても上手いのだが、
そこまでの心情描写が殆どないことに戸惑ってしまう。
いくら美人の女性とはいえ、
第二の母と言ってもいい存在にいきなりのキスは唐突すぎる。
何かキッカケの過去があるのであれば、彼らの18年を知らない観客にとってその深い思い見せて欲しい。
あの煙草の煙のようにさらっていく気持ちなのであったのなら、
その気持ちは波が一瞬でかき消したようなもの。
禁断の愛を描くのなら、過程はじっくり丁寧に描いて欲しい。

彼らの日常があまりに見えない。
非日常過ぎる日々。
何か高貴な人々の理解出来ない遊びを見せられた感じ。

時間を置いて考えてみても、やはり母の親友をずっと好きだった、死ぬほど愛してるというのはリンクすることなく消えてしまった。
それは、彼らの言う「不毛」なのだ。

物語はまさに、
美しい男女の愛が崩壊していく茶番劇。

ただ、ためらいをあらわす葛藤があって良かった。
少しずつ確かめ合いながら口づけを交わし、
ぶつかった思いを語ることなく修復していく友情。

仕事を持ち、家庭を持ち、幸せに暮らす日々。
それでもこの四人には忘れられない愛の蜜の味。

「あなたを一生許さない」

どんな重みあった言葉だろうか。

エンディングはとても恐ろしかった。

2013/アンヌ・フォンテーヌ/★★☆☆☆☆