ネット社会を取り巻く現代を、
いくつかのケースを引き合いにモラルと関わりを問う群像劇映画。
その本質は、介在するネットではなく、日常の在り方。
人間ドラマであった。
宣伝では、
『クラッシュ』や『マグノリア』を比較にしていたがそのやり方は違うかなと思う。
作品の宣伝であまり他の作品を出してどう!?というのは好ましく思わないけど、決して負けていないと思う。
特に『クラッシュ』に関しては、
交通事故と民族紛争が違うだけで構造は同じ。
良くも悪くも。
でも、今作は日々移ろう現代社会を痛烈に扱っていたうえに、しっかりと骨太で濃密な作品だった。
最近よくある、SNSの文字の描写。
これがうまかった。
しっかりと伝えるところと曖昧にするところの感覚が良い。
キーとなる音楽と、3つの物語が重なり合うラスト前。
あのスローと暴力は、前振りがきちんとなされているから畳み掛けてくるものがある。
このスローが演出で、映画だよ。
バランスが絶妙で、俯瞰視しながらも、どこかクロスオーバーもしてしまって。
映画には、他の映像作品と一線を画す表現があると思っていて、
今作はまさにそれを体現していた。
2012/ヘンリー・アレックス・ルビン/★★★★☆☆