サードパーソン




愛や日々に飢えた欲望の「現実」ではなく、
解放を求めた「虚構」の物語。
その解放こそが「彼」が出した答えの結末。

そう、この物語は多くの「彼」が登場する。

人間ドラマ、群像劇の名匠ポール・ハギスの最新作。
ハギスが50回の改稿を重ねた脚本とあり、絡み合った紐を解くより難解、複雑だが、この映画の素晴らしいところには映画的解釈と様々な布石が伏線になっている。
それには幾つか散りばめられたヒントを一つ一つ味わっていかなければならない。

メモ、水(プール)、ホテル、白色

あたりでしょうか。

そして、小説。

誰の為の誰による物語なのか。
恐らく存在する人物は四人。
それも現実と虚構の狭間を行き来するので、実質一人かもしれない。
舞台は一歩たりとも動かず、ホテルの一室だけで幕が下りる。

このことこそが、
タイトルが『サードパーソン』たる由縁なのだろうか。

2013/ポール・ハギス/★★★★☆☆