土竜の唄 潜入捜査官REIJI



漫画原作を監督三池崇史×宮藤官九郎脚本×主演生田斗真で描く警察極道もの。
過激なバイオレンスをクドカンによるコメディ映画といえば聞こえはいいが、どうにも腑に落ちない。

原作物は原作とどう違うかを映画で観るのではなく、どう再現をしながら映画として楽しめるかが重要だと思う。
そもそも書籍と映像は隣にありながら全く別のフィールド。
だから、映画がどうだったか、それに尽きる。

かなり編集と異次元の世界に頼ったような雰囲気が漂っていて、今の所謂ヒットする日本映画の典型のような映画でした。
キャラクターは漫画に似せようとしていてファンはそこを楽しめたかもしれない。
ただ、際立たせ過ぎたせいか物語は日常の裏にある極道に進むのだがフィクション色が別の方向に向いてしまい入り込めなかった。
作り物はどこまで作りこむかが作品の質を左右すると改めて思わせてくれた。
浮き沈みが激し過ぎて失速していく。
ラストで妙なアクションが長すぎて追い討ちをかけるようにダレていく。
生田斗真の演技、クドカン得意の警察内部の掛け合いと唄のシーンは流石であったが、、、
堤さんはどの映画もああいう配役が多くなったな。
一時期の阿部寛のように。

劇場内は、バイオレンスに驚き、終始笑いが包み、演者に拍手を贈る。
僕はその中で1人蚊帳の外。
同じ世代がほとんどだったから、この世代がいかに映画を観ていないのかと改めて実感したし、とても悲しくなった。
最強だった『永遠の0』を破り首位に立った今作。
これが日本の現状だ。と劇場に置き手紙をして帰る寂しい僕の後ろ姿がそこにはあった。

2014/三池崇史/★☆☆☆☆☆