パラダイス三部作


パラダイス愛


パラダイス神



パラダイス希望



オーストリアの異才、ウルリヒ・ザイドル監督の『パラダイス』三部作。
バカンスを過ごす女性三人の活劇を、日常に潜む違和感をユーモラスに浮かび上がらせた作品。

それぞれ独立した作品ではあるが共通しているのは二つの対比。
先進国と途上国の根底にある意識、
白人と黒人の根本的な生き方、
裕福層と貧困層、
ビジュアル的に、また意図的に捉えられている体型の瘦身と肥満。
全てを作為的に皮肉が込められ、社会に突きつける。
それをユーモラスに描くものだから、軽快に笑いがあり、むしろその皮肉さえも話の1部として組み込んでいる演出。
歪な構造と歪んだ感情は同調すると、こんなにも豊かな物語として成立するのかと驚くばかり。

三部作としての企画ではなく、短編と集まりだとも語っているように、独立しつつも、三人の姉妹が辿る道筋に、今あるべき社会となりきれていない社会のコントラストが白と黒のように交わらない表と裏は常に表裏一体であると証明した作品だった。

三大映画祭で出展されており、
ハネケに並びオーストリア監督として覚えておかなければいけない光を観た。

個人的に、愛が1番好きでした。

2012/ウルリヒ・ザイドル/★★★★☆☆