グロリアの青春




詩的な台詞の引用だったり色々なメタファーに満ち溢れている映画。
最近、50代女性など第2の人生賛歌、恋愛模様の映画が多いのは何だろう。
ラストにかかるウンベルト・トッツィの「グロリア」に当てた名前選びなのかと思うくらいの高揚感。

デモ隊のシーンなど、
チリという国柄の社会的情勢に反映されていて、
振り向いて突如脱ぐシーン、
突然現れる孔雀には何が待っているのか。

現れては消える猫、
メイドの叱りに込めたその存在の意味、
猟奇的な上階の住人、
彼の叫びはグロリアへの吐露暗示、
意味深な封筒、
捉え方で全てが変わる物理的、だけど浮遊しない心のメタファー。
車のシーンは特に印象的で、
あの台詞に全てを投影しているように、感情と向かう方向で変わる。
行きは加速し、帰りは失速する。

下り坂の彼女のこれからを、
春にするべき奮闘する上り坂の青春。

チリの、パウリーナガルシアによる、「グロリア」のための映画。

2013/セバスティアン・レリオ/★★★☆☆☆