五つ数えれば君の夢



インディペンデントで喝采、大注目の眼差しを浴びる若手監督、新星山戸結希。
処女作『あの娘が海辺で踊ってる』が東京国際映画祭で評価され、ポレポレでは異例の大ヒット、
短編がぴあで入選し、
去年の『おとぎ話みたい』は絶賛された。
今、瞬く間に階段を駆け登る長編二作目は、東京女子流をキャストに迎え万を辞して劇場公開!
とあり、公開前から楽しみに、公開直後に観に行ったのですが...

んー、、残念。
監督のはっきりしたビジョンと世界観は色濃く出ていて良かったのですが、キャストが受け止められていない状況が最後までオチなかった。
冒頭からタイトルインまで、5人の群像劇がどう進むのかと期待させる高まり演出だったのですが、常に世界が人を上回り続け、与えられた設定が浮き彫りになり過ぎて違和感があった。
若手キャストだからしょうがないのかとも思ったが、結局はOKを出すのは監督だから、あれが狙っている画だとしたら、僕には縁遠い作品だろう。

若い女の子を綺麗に撮るのがうまい監督だという印象は変わらないが、今回はアイドルのためのアイドル映画色がどうしても拭えない。

ほぼ全編、ピアノ音のリピートで、シーンによって、ノイズが入ったり、軽やかになったり、心情や場面がシンクロしていく演出は楽しかったが、もっと圧縮してスピード感があっても良かったのかな、と思ったり。

デパルマカットのような編集が随所にあり、全員の重なりを表現するには適切なのかもしれないが、
縦横無尽に動き、プールの飛び込みシーンは唖然として、えっ、これ???
と頭は真っ白に。

綺麗な画で、お嬢様のような制服にそぐわない中央線沿線の錆び付いた校舎、
設定を含め構成がよく分からない。

詩的なセリフの連続に、女の子たちは自分のものに出来ていないから、言わされているようにしか聴こえなかったし、学園生活は誰しもが通る道だけに、もっと忠実に描きながら夢をチューニングするべきだと思った。
ありえないよそれ!というのがたくさん。

ただ、中野駅前のオブジェで交差する撮影は、この思春期にある複雑な感情をあてていて、美しく観られた。

もっともっと良く出来ただろうなと思うから、これからこの監督が商業に化けたら恐ろしいだろうなとも思う。

どちらにせよ、注目であることに変わりはない。

2014/山戸結希/★☆☆☆☆☆