キック・アス ジャスティス・フォーエバー



単館上映でわずか4館の上映から口コミによって70館にまで拡大し大ヒットを記録したアメコミ原作の前作『キック・アス』の続編。
それはもう4年前の話で、当時12歳だったクロエモレッツはすっかり成長してる。
設定は、あれから3年後のキックアスとヒットガールを描いているのだが...

感想としては、想像通りではありますがかなり残念な作品に仕上がっていますね。
でも、これはもうしょうがないことなのかもしれない。

『キック・アス』は所謂、ヒットガールへの萌え映画。
それを軸として、それ以外の設定が骨太に描いているため相乗効果がうまれていた。
主人公が一般人というのは今までにあまり無かったし、ヒットガールの親子関係、そして漫画と違うラスト。
あのロケットを使ったラストのカタルシスは爽快で鳥肌が立つような演出で素晴らしかった。
そういった緻密な構成が前作にあり、シリーズ物が故に今作は見ていられなかった。

いくつかその点を挙げると、
・キックアスが弱くない(マッチョ)
・ニコラスケイジの損失
・構成がスパイダーマン
・そもそも製作次期が遅い
・宿敵マザーファッカーに魅力がない
・ジムキャリーの無駄使い感
・マザーロシアの存在
・詰め込まれ過ぎてまとまらないお話

といったところだろうか。

本来はキックアスが一般人であり、その奮闘ぶりとヒットガールとの絡み合いからうまれる感情移入みたいなものも魅力の一つであったが、今作はキックアスの短く映し出されるトレーニングでかなり強くなり、そもそもアーロンテイラージョンソンがかなりマッチョで頼りなさも感じなかったし、前よりかなりイケメンになっていた。
それじゃあ意味ないんだよなー、と。

ニコラスケイジが死に彼の存在の大きさを見せつけられたし、
その父の仇であったり、関係性がスパイダーマンと全く同じでそれはどうなのかな。糸が出るか出ないかの差しかない。

前置きの通り、クロエモレッツ萌え映画として成り立つ今作は、製作次期が遅すぎる。
すぐ製作に取り掛かり、クロエの存在はそのままに新たなストーリーにすればもっと展開は変わっていただろう。

そして、突如現れたマザーロシアの存在。これが話を狂わせた。
強過ぎる!と思いきや一転して対抗手段はアドレナリンという膨らみのなさ。
明らかに敵キャラとして描いてしまっているが、敵キャラの魅力がバトルアクションの1番の見せ場でもあるから、凄く典型的な型にはめすぎていて薄く仕上がった。

少女クロエの話はもう使えないから、彼女自身も製作に加わったらしいのだが、やりたいことを詰め込み詰め込みという具合に散らかった内容に。
学園モノ、ラブストーリー、親子関係、チームでのバトル、キャラ作り、全てが中途半端でジムキャリーが無駄死にで残念でした。

ラストのあれは本当にやってはいけないこと。
終わったか、と思ってさらにあの病院のシーンで興ざめしてしまった。

三部作としてやりたいのであれば、もっと製作の段階からプロットを作り込んで欲しいです。

前作に比べると笑いの要素も少なかったが、ゲロゲリ棒の軌道は衝撃的でした。

2013/ジェフ・ワドロウ/★☆☆☆☆☆