アクト・オブ・キリング



インドネシア発、
今迄にない、あってはならない新たな切り口、テーマのドキュメンタリー。

明らかになる不条理で恐ろしい政策の裏にあった残虐な殺人。
生まれるはるか前のその時代の風潮や雰囲気は、学ぶ機会もなく分からない。
これは、日本も他人事ではない。
寧ろ、当事者であるかもしれない。

共産主義排除のもと、行った殺人鬼は過去の行いを楽しそうに、
思い出しながら再現し、語る。
次第にカメラを通し振り返りながら彼らの心は変化し、その先に待っていたのは...

この映画がいかに重要であるか、
見つめるべき事柄であるか、
突きつけられたテーマ。

しかしながら、
その悪趣味が故に同調出来ない。
宣伝、コメントほど恐怖が肌で感じられなかった。
いたって淡々と鑑賞してしまった。

空気感やその熱は充分に得られたが、
彼らが目指したノワール映画を頭の後ろで感じ、コメディタッチに描かれる今作の孕む恐怖は薄れていった。

ラストシーンの「音」には今作の全てを感じ、そういうことかと思ったがそれは時すでに遅かった。

エンドロールの匿名表記には、
如何に挑戦した撮影だったかを感じられた。


2012/ジョシュア・オッペンハイマー、クリスティーヌ・シン、匿名/★★☆☆☆☆