ライヴ



井口昇監督最新作。
井口ワールド全開という訳では無かったが、
あやふやに曖昧に、細かいこと抜きに楽しめ!というスタンスは健在だった。

角川の記念作品ということもあり、
角川映画に捧げるオマージュ、
昔のテレビドラマ観たような、
古い演出。
あったなあこういうの、
なんだか乱暴だけどこれも映画だよなあ、そんな具合に。

死亡するシーンを真正面からじっくりと映し、そこにテロップとそれらしき音楽が流れる。
現実味はないのだけど、そうやって見せ場をきっちりやるあたりが、
僕が小学生の時に帰宅して観ていた昼間の刑事ドラマみたいだ、と
角川をそこまで知らないながらに感じました。

山田悠介の原作小説を基にしながらも、大きく脚色されていた。
理由付けもそうだが、
そもそも映画に小説の「ライヴ」が登場し、それに翻弄されながら主人公たちが小説を読み解いていくという変わった展開だった。

トライアスロンとはいいつつも、
本作はひたすら走る、走るのみ。

一つ気になったのは舞台設定。
田舎から上京し、
スマホでマップを開くと新宿に主人公は居た。
そこから振り回されながらヒントを探し求めるためにひたすら走るのだが、
彼が飛び出した場所は、新潟だった。
これが僕の地元ってだけで映画的違和感とは別の話だろうと観ていたが、
「新潟しんきん」の看板やローカルバスの新潟の文字も映す、
最後の競技場は新潟スタジアムビッグスワンで、大きく「NIHGATA」も文字も見える。
なんだかしっくりこない。
だけど、舞台挨拶の際に新潟のことをしっかりと言っているし、
あれは僕の勘違いで、ずっと新宿と思っていたのは新潟の間違いだったのか。
うん、きっとそうだろうな。
古町モールのドカベンも演出で使っちゃうくらいだからきっとそうだ、...

余りにも僕の地元過ぎて、
なんか映画を変な気持ちで観てしまった。
古町モール、ドカベン、NEXT21、廃墟ビル、赤いローカルバス、下堀ローサ、ビッグスワン。
信濃川をバックに橋の上で母と言葉を交わすシーンは、
そこは普通行かないよなーと思ってしまった。

映画は死に方と戦い方に拘っていて、
それが嘘っぱちでもそれを楽しむだという感じ。
人間関係に特に絡みはなく、モノローグで会話するから、もう細かいこと忘れよって思って楽しんだ。

ふらっと観に行くにはいんじゃないでしょうか。
それにしても、井口昇監督って不思議だなーと再認識。

2014/井口昇/★★☆☆☆☆