百瀬、こっちを向いて。



恋愛小説集、短編の映画化作品。

主人公が、高校卒業から15年後に母校に講演会をするために帰郷する。
その際、偶然母校のマドンナ的存在の先輩に出くわし、
近況報告と同時に過去の回想で物語が進んでいく。

幼馴染の先輩の恋愛に翻弄され、同級生の百瀬と出会い、主人公は今までに見たことないような景色を、初めて感じる青春のフィルターを通して、観客もいつしか主人公に自分を投影していくという構造の映画。

こういった場合、その先輩は憧れの存在で周りにも慕われているが主人公は冴えない。その傍らには理解してくれるたった一人の友人というのがあって、今作はまさにその図式でした。

回想から現実戻る瞬間、話に引き込まれていたというよりも、どこかこの台詞はミスリードをしようとしているんではないか。
という何か妙な違和感を感じてしまった。

ここで話すことの長さや繋がりもない、まして観客はまさに今あなたがたの恋愛模様を観ていた訳で、それを敢えてそちらから切られたら乗る感情も乗らないのに、って。
隣の子供はとても複雑な心境だったろうな。

よく理解出来なかった点もあって、

主人公が語る、
人間レベル平均が50点。
僕は2点。
という言葉。

あんなに分かりあってた幼馴染なのに、
さも何年も音信不通だったかのような、高校が同じだったこともわからないなんてあるのだろうか。
それにしては出会ってからの急速に幼馴染を強調するのは何だろうな。

青春の距離感という意味では、
『大人ドロップ』で絶妙なリズムがあったので、掛け合いや高校生を取り巻く人間関係に今作は感じられなかったのかもしれない。

それでも、
花言葉の演出はありきたりながら納得は出来たし、ラストはあれで良かったと思う。

2014/耶雲哉治/★★☆☆☆☆