世界の果ての通学路



通うことが命懸けの通学路を通し、
世界各国「果て」の現在を描くドキュメンタリー。
充分に大変なことは伝わった。
子供たちがそれでも未来に希望を見出す姿勢を、観客の体験、日常と重ねることで自信の怠慢や幸福度を見つめ直すよう出来ている。

それでも僕はこの作品にやや否定的。
それはまた別で、彼らには土地の伝統や執着する何かがあるはず。
それを、国の差異に重ねることは違うんじゃないかと。
もっと、国がその民族に密着し、国が動くべきではないだろうかと。

その困難な環境に置かれた彼らは、
満足していたし、それこそ幸せな毎日に見えた。
それを日本に住む僕が自分は恵まれているから、もっと大事にしなきゃと誘導するようなテロップや描き方は観ていられないし、
お涙頂戴型に感じた。

それを決定付ける、カット割り。
カメラの存在を充分に感じ、待ち構えているアングル、不運や危険をまた別で繋ぎ合わせる。
これは、ドキュメンタリーを装ったドラマだった。

こんな感想を抱く僕自身こそが気付くべき怠慢な感情を持つ日本人と言われるのなら、
全てを踏まえた上でそれを一蹴し、揶揄したい。
それは絶対に違う、と。

それでも、映し出された子供たちに賞賛の眼差しを贈りたい。
溢れる夢、それは観ていて気持ち良かった。

2012/パスカル・プリッソン★★☆☆☆☆